「ISM Manufacturing PMI(ISM製造業購買担当者景気指数)」と「ISM Manufacturing Prices(ISM製造業仕入価格指数)」は、どちらもアメリカの供給管理協会(Institute for Supply Management, ISM)が毎月発表する製造業関連の景気指標ですが、内容・意味が異なります。以下に分かりやすく整理します。
ISM Manufacturing PMI(製造業景気指数)
正式名称:ISM Manufacturing Purchasing Managers’ Index
意味:
製造業全体の「景気の強さ」を示す総合的な指数です。
全国の製造業の購買担当者(PMI = Purchasing Managers Index)に対して、以下のような質問を行い、その結果を指数化しています。
構成項目(主な5項目)
- 新規受注(New Orders)
- 生産(Production)
- 雇用(Employment)
- 仕入先納期(Supplier Deliveries)
- 在庫(Inventories)
これらを加重平均して「総合PMI」を算出します。
- 50を上回る → 景気拡大(製造業の活動が前月より良い)
- 50を下回る → 景気後退(製造業の活動が鈍化)
例:
ISM Manufacturing PMI = 49.1
→ わずかに50を下回り、製造業活動が縮小気味。
ISM Manufacturing Prices(製造業仕入価格指数)
正式名称:ISM Manufacturing Prices Index
意味:
製造業者が購入する原材料や部品などの価格動向を示す指数です。
購買担当者に「価格は上がりましたか?下がりましたか?」と尋ねて、その回答を指数化しています。
解釈
- 50を上回る → 原材料価格が上昇傾向(インフレ圧力あり)
- 50を下回る → 原材料価格が低下傾向(インフレ圧力弱い)
例:
ISM Manufacturing Prices = 55
→ 多くの企業が仕入価格上昇を報告 → インフレ圧力が高まっている可能性。
まとめ
| 指標名 | 内容 | 意味 | 経済的影響 |
|---|---|---|---|
| ISM Manufacturing PMI | 製造業全体の景気動向 | 50以上で拡大、50未満で縮小 | 景気判断・ドル相場・株式市場に影響 |
| ISM Manufacturing Prices | 製造業の仕入価格動向 | 50以上で価格上昇、50未満で価格下落 | インフレ見通し・金利動向に影響 |
ポイント
- 両方ともISMが同時に発表しますが、
PMIは「景気の強さ」、Pricesは「物価圧力」を示します。 - 例えば、
PMIが低下(景気悪化)でもPricesが上昇している場合、
「スタグフレーション(景気悪化+物価上昇)」懸念が出ます。
