フリップフロップの入力要求表まとめ


デジタル回路でよく登場する フリップフロップ(Flip-Flop) の種類ごとの入力要求表と特徴をまとめました。
代表的な4種類(D・SR・JK・T)について、動作やセットアップ/ホールドタイムの注意点も解説します。


Dフリップフロップ(D Flip-Flop)

特徴:
クロックの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせて、入力Dの値をそのままQに保持する最も基本的なフリップフロップです。
レジスタやシーケンス回路で最も多く使われます。

入力要求表:

DCLKQ(next)
00
11
↓ / HOLD保持

タイミング要件:

  • セットアップ時間(t<sub>su</sub>):Dはクロック立ち上がりの少し前に安定している必要があります。
  • ホールド時間(t<sub>h</sub>):クロック後もしばらくDを変化させてはいけません。
  • 補足: データ経路遅延やクロックジッタを考慮し、マージンを取る設計が推奨されます。

SRフリップフロップ(Set-Reset Flip-Flop)

特徴:
S(セット)とR(リセット)の2入力を持つ基本形。
S=R=1は定義されない(不定状態)ため注意が必要です。

入力要求表:

SRQ(next)
00保持
010(リセット)
101(セット)
11禁止/不定

タイミング要件:

  • S/R信号はクロック同期型の場合、エッジ前に安定している必要があります。
  • 非同期型では、解放のタイミングや「クリア優先/セット優先」などの設計差に注意が必要です。

JKフリップフロップ(JK Flip-Flop)

特徴:
SR型を改良し、J=K=1のときに「トグル(反転)」動作をするようにしたタイプ。
カウンタ回路などによく使われます。

入力要求表:

JKQ(next)
00保持
010(リセット)
101(セット)
11トグル(Q反転)※競合注意

タイミング要件:

  • J/K信号はクロック前に安定させる必要があります。
  • トグル動作時は内部遅延によりメタステーブル(不安定)になる可能性があるため、十分なセットアップ・ホールドを確保する必要があります。

Tフリップフロップ(Toggle Flip-Flop)

特徴:
T=1のときにトグル(反転)し、T=0のときは保持。
カウンタ回路などで非常によく利用されます。

入力要求表:

TQ(next)
0保持
1トグル(Q反転)

タイミング要件:

  • Tはクロックの立ち上がり前後で安定していること。
  • 高速動作では伝搬遅延やゲート遅延の影響を考慮する必要があります。

まとめ表

種類入力主な動作注意点
DDDの値をラッチセットアップ/ホールドタイム
SRS, Rセット・リセット制御S=R=1禁止
JKJ, Kトグル可能なSRJ=K=1時はトグル(競合注意)
TTトグル/保持カウンタ用途が多い

補足

  • クロック同期型非同期型では入力要求が異なることがあります。
  • FPGAやASICで使う場合は、**内部実装(非同期クリアやプリセット)**の仕様も確認することが重要です。
  • 実際のタイミングはデバイスデータシート(例:74HCシリーズなど)を参照してください。

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